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『常務 川口保の雑学部屋』~曳家(ひきや)って知っていますか?~
曳家とは?
(出典:有限会社太豊工業 HP)
家引きや曳家とも呼ばれる建物を解体せずにそのまま移動すること。
要は、建物をそのまま引っ張って移動させる工事です。
講堂を30m移動せよ!
50年前の経験です。
私が富士吉田に居た頃、中学校の増築工事で増築部分が木造の講堂に当たってしまう為、その講堂を30m位移動させる工事をしました。
どのように移動させたのか、順を追って説明しましょう!
①先ず講堂の床を剥がし建物寸法を測って同じ基礎を移動場所に作る。
②土台のアンカーボルトのナットを全て外す。
③布基礎を数十ヶ所斫って、土台下に受け木を差し込みWジャッキで全体を15cm位水平に持ち上げる。
④新しい基礎まで移動ルートを作る為、井桁に組んだ架台を何列も作りレールを設置する。
⑤人力で引き上げる機械?道具?を数台使い声を掛け合い、ゆっくりと引っ張る。(昔し漁師の船は海から陸に上げる時これと同じ物を使っていた。太い丸柱ワイヤーが巻き付いていて上部に穴が有り、そこに長い棒を差し込んで両側からゆっくりと押し進む。1日何m動かしたかは覚えていない。)
⑥目的の位置に到達したらゆっくりとジャッキダウンさせて完了です。
とにかく気が遠くなる仕事です。
曳家工事を行ってみて
今は価値のある建物じゃ無い限り、直ぐに解体して新しく作り直してしまうけど、当時はこんな地味な工事をやったんだと思うと感心します。
美輪明宏のヨイトマケの唄を想像して下さい。全く同じだ。
『母ちゃんの為ならエーンヤコラ。』ってか。