はたらくちから, 社員の活躍

社長インタビュー(後編)

(前編の続き)
建築の面白さに目覚め、大同工業株式会社に入社した堀口岳士は、その業務にのめりこんでいく。
「専務」という肩書に戸惑いながらも現場で奮闘。社員との距離も徐々に縮まっていったのだが……。

代表取締役社長
堀口 岳士(ほりぐち たけし)

カリスマ経営者からの継承

入社時点で、後継者への道が用意されていた堀口。
だが、自身を指名した現会長にして義父でもある堀口武彦とは、衝突することもあった。
現会長は、強い意志と決断で会社を成長させてきたカリスマ経営者。
周囲を慮り、社員に敬語で接していた堀口とは対照的だ。
会議中、社員の意見に耳を貸さない現会長を堀口が諌めて、口論になったこともあった。

社員に寄り添う経営を

堀口は今、ボトムアップの土壌を醸成している最中だ。
「建築物は一人では作れない」と痛感しているからこそ、社員一人ひとり、協力会社一社一社の力を活かした組織運営をしたいと考えている。
少しでも社員たちに寄り添いたいと、現場には積極的に顔を出し続けてきた。
社長に就任してからもスケジュールを調整し、今もできる限り足を運んでいる。
目指すは、「腹を割って話せる風土」。
いずれは1対1でミーティングを実施して、社員が思いの丈をぶつけられる機会を作りたい。

「建築文化」の担い手として

大同工業で手がけた建物は、雑誌で紹介されたりアートイベントに出展されたりする機会がある。
そこに、規格化された量産型建築にはない魅力があるからだ。
自身が大同工業で初めて携わった作品、鈴木了二先生の「物質試行No.50『下田の住宅』」は、難しいからこそ、やりがいや面白味があったと語る。
「唯一無二の建物には、芸術品のような価値がある。建築は文化であるべきだと思っています」。
大同工業には建築を通じて人々の心と生活を豊かにする使命がある──。
堀口はそう考えている。
将来は神奈川・静岡エリアを飛び出すことも視野に入れているという堀口。
クライアントと建築家、作り手である大同工業が三位一体となり、世の中に建築の魅力を伝えるような作品を生み出していくつもりだ。

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