若手の育成に積極的な社員インタビュー(前編)

伊東本社の建築部で所長を務める原慎一郎。
若手社員とともに現場に入り、実践での指導を行ったり、サポートを行ったりと
忙しい日々を送っている。
入社以来25年のキャリアを積んできた原の、仲間たちに向けた思いに迫る。
伊東本社 建築部 所長
原 慎一郎(はら しんいちろう)
何事も、粘り強い気持ちで
2024年1月~7月末にかけて行われた今井荘の改修工事は、特に印象深い案件だ。
10階建て老舗ホテルの外壁塗装と1階~3階までの全面改修、
4階~最上階にある客室の一部改修を行った。
ある日、「一時的に取り外して保管していた客室のドアノブを紛失してしまった」と
部下から報告を受けたのは、工事も終盤に差しかかった頃。
それは、代替品のない貴重な部品だった。建物内を隈なく探すように指示したものの、
どこにも見当たらなかった。
管理が不十分だったのは、上司である自分にも責任がある。
ただ、部品はもう見つからないと部下が諦めていた姿には気にかかる点があった。
「簡単にギブアップしてはいけないよ」と声をかけた原は、産業廃棄物処分場に連絡。
現場から運び出された、産廃コンテナを調べるように指示を出した。
その結果、ドアノブは処分場で見つかったのだ。
「たとえミスをしても、諦めずに取り組む姿勢が大切だと知ってほしかったのです」。
その思いが届いたのか、逞しく成長している部下を今は温かい目で見守っている。

「怒る」から「叱り、励ます」へ
そんな原でも、かつて部下の失敗に対して、
感情的になり厳しく責めてしまったことがある。
何度注意しても周囲とのコミュニケーションをしっかり取らず、
確認不足を積み重ねた結果、深刻なトラブルをたびたび招いていたからだ。
結局、その部下は担当している建物の完成を待たずに職場を去った。
本人もつらい思いをしていたかもしれない……そう思うと非常に後味が悪く、
後悔の気持ちばかりが残った。自分の若い頃と今の世の中では状況が変わっているうえ、叱るのと、怒りをぶつけるのでは意味合いがまるで異なる。
時代に合った形で、指導のあり方をアップデートさせなければならないと
深く反省した出来事だった。
困難を乗り越えた先にある景色を、若い人たちにも見てもらいたい。
そう願う原が、仕事をするうえで一番大事にしていることとは……。
(後編に続く)