測量機器は全部で6種類。建築施工会社が教えるその使い方と特徴、使用場面とは?
測量は現場の必須業務
道路や工事現場で、測量をしている人を見た事があると思います。
素人目には、でっかいカメラを覗いて「何を覗いているのかな??」と不思議に見えるかと思います。さて・・・実際は何をしているのでしょうか。
正解は対象物の「高さ・角度・距離・高低差」を計っています。
弊社の様に、建物をつくる為にはこの「寸法の計測」が必須業務になります。現代では便利な道具が沢山増えていますが、方法は違っていても、今も昔も必ず行っている業務です。
測量機器の種類と計測方法
測量機器は大きく分けて6種類。
①レベル
②レーザーレベル
③トランシット(セオドライト)
④光波距離計
⑤ドローン
⑥モバイル計測機器
それぞれの使い分けについて、簡単に説明します。
①レベル
複数地点の「高低測量」「水平測量」を行う測量機器の事。望遠鏡と気泡管を組み合わせた三脚の付いた測量器。測量の際には、専用の三脚の上に付けて用いる。現在使われている物は殆どがオートレベル。
方法 | 2人で測る。レベルを据え付ける専用の三脚と、「スタッフ」と呼ばれる標尺を 組み合わせて、地点間の高低差を望遠鏡で観測する。 |
使用場面 | 外構のレベル出し、基礎の高さ確認、GLとFLのレベル確認など。 |
メリット | 測量精度に優れている。簡単に測量する事が出来る。 |
デメリット | 作業に2名必要。設置する場所に高低差があると精度が落ちる |
②レーザーレベル
レベル本体からレーザー光線が出る事により、水平をはかる測量機械の事。
方法 | 1人又は2人で測る。 レベル本体から出されるレーザー光線を利用して測る。 |
使用場面 | 主に内装工事。 |
メリット | 1人で作業出来る。容易な墨出し(水平出し)が可能な為、 現場の効率化に繋がる。 |
デメリット | レーザーの色に赤と緑がある。特に緑が高額。 |
③トランシット(セオドライト)
望遠鏡を用いて、水平・垂直方向の角度を計測する測量機器。経緯儀ともいう。測量の際には、専用の三脚の上に付けて用いる。
方法 | 2人で測る。三脚を使用し、望遠鏡を用いて角度を計測する。 |
使用場面 | 土工事中の位置出し。通りを出す。逃げ墨を出す。 |
メリット | 測量精度に優れている。簡単に測量する事が出来る。 |
デメリット | 作業に2名必要。距離は測れない。 設置する場所に高低差があると精度が落ちる |
④光波距離計
目標物に光を発射し、反射して機械に戻った光を電子的に解析して距離を測る機械。目標物に設置するプリズムとの組み合わせで使用される。
方法 | 長さを求めたい2点の片方に、機械を。 もう片方にプリズムを置き、機械から発射された光の反射で長さを測る。 |
使用場面 | 土工事中の位置出し、建物の位置出し。 |
メリット | 電波型の測量器よりも、高い精度で測定できる。 |
デメリット | 天候や砂埃に強い影響を受ける。 |
⑤ 測量用ドローン
無人であり、遠隔操作やGPSを使用した自動操縦で飛行できる200g以上の重機の機体の事。ドローン写真測量とドローンレーザー測量が基本的な測量方法。主に建設業では、着工前の調査に使用し、距離・角度・高度を測って、地形の状況を把握している。従来の測量に比べて、大幅な効率化や、人手不足の解消、働き方改革に繋がる。
ドローン写真測量とは
方法 | ドローンに搭載したカメラで重複させた写真を複数枚撮り、 それらを繋ぎ合わせて地形情報を調査する測量方法。 |
メリット | レーザー測量に比べて、安価な機材を使用して行える。 |
デメリット | 木々が密集し、地表が撮影出来ない場合は難しい。 |
ドローンレーザー測量とは
方法 | ドローンに搭載したレーザー測距装置から地上にレーザーを 照射し、そのレーザーの反射によって距離情報を取得する測量方法。 |
メリット | 写真測量に比べてより精度の高いデータが取得出来る。 |
デメリット | レーザー装置が高額。 |
⑥ モバイル計測機器
スマートフォンやタブレットの様な、モバイル端末に測量アプリをダウンロードして使用。GPSを受信して数値を計測する。
方法 | アプリをダウンロード。選んだアプリによって測定できる機能が変わる。 |
使用場面 | 正式な測量前の下見で使用。補助と考える。 |
メリット | 重い専用機器を持ち運ばなくても、安易に測量する事が出来る。 |
デメリット | GPSの受信状況により、正確な数値が出ない事がある。 使える機能に限りがある。 |
(ちなみに)
会社の隅にひっそり昭和前期~中期頃の「レベル」
創業100年を超える大同工業には、異彩をはなっている骨董品並の「レベル」があります。
今では使いやすい機器に変わっていて、使われる事がなくなっています。
実際、社員で使える人が居るのかもわかりません。
ケースも無く、自重もかなりあり、実質使えないこのレベル。埃をかぶってしまっていますが、オブジェとしては素敵だと思います。
調べたところ、昭和前期?中期?頃に使用されていたレベルの様です。こんなに古い機械でも、覗き込んでみるとしっかりその機能は発揮されそうです。
現場監督に必要な道具はそれだけではない
建築施工会社の現場監督には、測量機器だけでなく「スケール」も必須。
その記事も以前書いたので、よかったらご覧ください。
また、現場監督が「描く・書く」場面で使い分けている、ボールペンの記事も合わせてご覧下さい。
現場監督は測定機器が扱えなくてはならない。入社して間もない社員は、先輩社員の指導の下、会社の敷地内で毎日の様に据付の練習をしていた。スピードと正確さにおいて、先輩社員に合格点を貰えるまで、何度も練習してきた。原始的とも思える測量業務は、強くて美しい建築とは切り離せない。