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建築家の春日治さんは、この絶景をここでしか体験できない特別なものにするために、“音環境”に徹底的に配慮した。このヴィラが建つ敷地は幹線道路沿いで、交通量が多い。せっかくの絶景もクルマのエンジン音が聞こえてはその魅力が半減してしまう。春日さんは建物に遮音性の高いRC造を採用。道路側に開口をなくし、玄関扉を２つ設けることでノイズを完全に遮断した。デッキの両端に設けた近隣からの視線を遮る壁は幅３０ｃｍほどでかなり分厚い。そのため、デッキにいてもクルマの音がほとんど聞こえない。素晴らしい眺望とノイズのない環境――。それがヴィラを訪れる目的である、非日常をつくり出している。

空間構成は穏やかなV字型の平屋。両端にベッドルームとバスルームがあり、中央がLDK。その横にサッシで仕切ることのできる屋根付きの半屋外の空間がある。オープンエアの心地よさを感じながら、寒い冬や強風でも美しい海と空を眺められる。

 

＜モダンリビング2016年1月号　より＞


設計：L.O.B.研究所　一級建築士事務所

http://www.daido-kogyo.co.jp/architect/works/index.html?d=279