挑戦の舞台~若手監督2年目担当プロジェクト~
22歳にして入社4年を超え、プライベートでは2歳のお子さんを持つパパでもあるOさん。
淡々としつつもジョークを交えながらお話する様子からは、若いながらも経験値が高く、頼もしい現場監督としての風格が伝わってきました。今回取り上げるのは、大関さんが初めて施工管理を担当した『川奈プロジェクト』。現場での苦労や記憶に残っている出来事など、くわしくお聞きしました。
お客様=設計者の『川奈プロジェクト』
伊東川奈の斜面地に計画された川奈プロジェクトは、設計事務所アーキサイトメビウスによる延べ床面積160㎡ほどのオフィス兼別荘です。
ワーケーションを目的としたこの建築は、オフィス棟と住宅棟の2棟がウッドデッキでつながれた形状が最大の特徴。シンプルな白を基調とした室内の大開口からは伊東の海が一望でき、室内外ともに清々しい雰囲気をまとった空気感が随所から伝わります。
入社1年目には補助的な役割でさまざまな現場と関わっていたOさんですが、入社2年目に自身が担当する物件としては初めての川奈プロジェクトへの現場入りが決定しました。
「川奈プロジェクトは設計事務所の建物だから、お客さんと設計が一緒だったんですよ。なので設計の意気込みもなかなかでした。更地の状態から竣工まで担当しましたが、検査の時もすごい大人数でしたね。」
こう話す大関さん。施主の要望がそのまま伝わるというメリットがある半面、非常に細かいレベルの打ち合わせが頻繁に必要だったそうです。設計者との本格的な打ち合わせや施工図の一式作成がほとんど初めての経験だったという大関さんにとっては、非常に悩ましく苦労が多かったのではないでしょうか。
修正に修正を重ねて、たどり着く正解
当プロジェクトでは、設計事務所からは施工レベルの図面がほぼない状態で、現場担当者による作図・提案が必須だったといいます。
「設計打ち合わせもちゃんと担当するのはほぼ初めてでした。設計からは施工レベルの図面がほぼなかったので、ほとんどの施工図を描きましたね。打ち合わせも頻繁で、やればやるほど変更が出て修正して…それをずっと繰り返していました」
施工図をほとんど一人で描きあげていったというOさん。特に大変だった納まりをお聞きすると、次のように答えました。
「陸屋根(平らな屋根)の納まりですかね。多方向から水勾配を付けるんですが、先輩から『これだとねじれが出る』と指摘されて、それを解消する方法とか施工の工夫とかを教えてもらいました」
図面としての納まりだけでなく、材料の施工性や合理的に納める工夫など、「現場で最適」な解決策を学んだそうです。
施工図は設計図を理解するだけでなく、材料の寸法や特性、施工方法や手順についての知識、さらに美しく納めるための工夫が欠かせません。同じ施工要領であっても、設計者の意図に合わせて微妙に方法を変えていかなければならないケースもあり、さまざまな配慮が必要になります。
「最初は本当に時間かかってましたね。現場担当して一通り経験できたので色々覚えましたけど。今同じスピードでやったら現場終わっちゃいますね(笑)」
当初はかなり時間がかかっていたという施工図ですが、現在では大幅にスピードを上げ作図が可能になったというOさん。これまでに書き上げた図面の枚数、さらに現場での実体験から、生み出せる成果が格段に増えたということでしょう。
「嘘はつかない、言い訳はしない」を大切に
川奈プロジェクトで記憶に残っている出来事をお聞きすると、「近隣対応が大変だった」とOさん。
「川奈の現場は上も下も横も全部対応が必要でした。車の出入りとか振動・騒音とかの理由で近隣から電話がかかってくるので、その都度謝罪に行って話聞いたり、工事状況の説明したりしていましたね」
斜面地である当プロジェクトの敷地は、四方を取り囲むのが別荘でなく住宅であったため、常に近隣への配慮が欠かせなかったといいます。
「とりあえず話をきちんと聞いて、出来ないことを出来ると言わずに会社に持ち帰ることは徹底していました。逆にお客さんに迷惑かけるのも嫌だったので」
さらに、お仕事全体を通して大切にしていることについては以下のように話してくれました。
「嘘はつかない、言い訳はしないっていうのは1番大切にしてますかね。前に現場で業者と認識の違いでトラブルが起こったことがあって、嘘とか言い訳はしても良いことないなと。出来るって言って、後からやっぱりごめんなさいっていうのは問題の元でしかないので、見栄はったり知ったかぶりはしないよう心掛けています」
自分の能力の範囲を超えた内容に手を付けることで、周りの人へ迷惑をかけることを防ぎたいとOさん。
一見するとクールで怖いもの知らずといったイメージも強いOさんですが、お仕事に対する姿勢はとても実直で気遣いに溢れていることが印象的でした。持ち前の胆力で、あらゆる現場をこなす頼りがいのある現場監督になっていくでしょう。今後の活躍も目が離せない大関さんです!
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